2008年の東京藝術大学の卒展で、この「境界」という横長に広がる漆黒の世界に触れた。ルドンの若き日の師であった、
枝 史織 Shiori Eda
「境界」 91x260cm 木・和紙に油彩 2008

版画家ブレダンを想起した。 寂寥感に満ち、安逸としているが、同時にしっかりとした生命力と何かの萌芽を感じる画面
である。 ほの暗い独房のような部屋にぽつんと光る電球に映し出された動物と裸の人間の影。 いったい「境界」とは
なんの境界のことなのか? 考えれば考えるほどこの幻想の舞台から眼が離せなくなる。 幻想絵画は決して朽ちるこ
とはなく、今後も繰り返し出現するのだと言ったマルセル・ブリヨンの言葉は正しい。枝 史織の脳内では、非現実の不思
議な空間をこしらえて、それを「名詞化」することで「意味の存在」を確認し、非現実の世界を「実現化」することが、昼夜
行われている。
1983 東京都生まれ
2002 東京都藝術高校卒業
2008 東京藝術大学絵画科油画専攻卒業
現在、東京藝術大学大学院絵画科油画専攻在籍
2005年久米賞、2006年安宅賞、2008年サロン・ド・プランタン賞、O氏記念賞 受賞
2007 個展 Sundries 南青山・東京
2008 Midsummer Show 2008 Azabu Art Salon Tokyo